桑名謹三・著(関西大学出版部, 2023)
桑名先生からご恵贈いただきました。
2週間ほどかけてゆっくり読みました。
被害者救済策としての環境汚染賠償責任保険の
強制付保化は正義論的見地からも有用である、というメッセージに
勇気を与えられたように感じました。
第3章~第5章の流れは、
アカデミズムにおいて、こういう「闘いかた」があるのか、
という印象さえ持ちました。
リスクを回避したり分散したり操作していると、
そこに悪魔的なものを見出すことがあるはずです。
サブプライムローンは、その最たるものでした。
世界中に流動化して、数学的にみれば
宇宙の塵のごとく希釈されたかのようにみえた「リスク」たちは、
しかし、当の住宅地に、リアルに、
目に見えるかたちで居残っていたわけです。
リスクとカリキュレートしても
リスクを、なぜ、なんのために扱っているのか
そのこころを失わないようにする必要があります。
原点を見直す契機を頂戴しました。