沢木耕太郎 文藝春秋, 1978=2008
1960年、社会党委員長の浅沼稲次郎氏を刺殺した、
山口二矢少年を描いたノンフィクション。
もうすこし正確に言えば、殺された氏と殺した少年(自死)、
ふたりの生を描き切った作品。
右翼と左翼という言葉に、アクチュアリティが与えられていた時代。
その内実を、ふたりの人間の「人生」を媒介にして、
取り出してくれています。
戦争・貧困・天皇・経済・思想・家族、、、
たくさんの媒介項から、生き様というリアルな従属変数を分析している点において、
学術論文を読んでも得ることのできない時代の真実を
つかみとることができるのではないでしょうか。